2020年 03月 29日
CINEMA UP 233~テーマ:心のベストテン第1位『ガタカ』『LIFE!』 |
FM PORTにて、毎週日曜午後7時~放送中の『中越グループPAN UP』内、「CINEMA UP」でご紹介した映画のあれこれ。
最終回のテーマは「心のベストテン第一位」。
①『ガタカ』(1998年日本公開・米)

SFですが、SFじゃない、独特の世界観です。最終回のテーマは「心のベストテン第一位」。
①『ガタカ』(1998年日本公開・米)

監督は、『トゥルーマン・ショー』のアンドリュー・二コル。
映像が美しい。構図の美しさ、押さえたトーンの色の美しさ。
音楽のすばらしさ。『ピアノ・レッスン』などで知られるマイケル・ナイマンが担当しています。
(『ピアノ・レッスン』も大好き。色気のある作品ですよね)
近未来を象徴するシンプルな衣装も素敵ですし、建物も内装もかっこいい。
トンネルのシーンでさえ、緑を基調にした美意識に溢れています。
スタイリッシュを極め、セリフはトーンを押さえ、ミニマムで、静かな世界観。
でも、そこに描かれている内容は、熱く燃えている。
「生きる」ということを描き切っている作品だと思います。
遺伝子操作で生まれ、エリートとして生きる「適合者」と、
自然な妊娠で生まれ、生まれた瞬間から、寿命、持病、能力の限界を知らされて、ある意味諦めて生きる「不適合者」
世の中が二分されている、そう遠くない未来が舞台です。
このコーナーでご紹介したのが2016年の11月でした。
その時の感想をさかのぼってみると、イーサン・ホーク演じる「不適合者」ヴィンセントが、
宇宙へ行くという夢に向かって、自分の限界を塗り替えながら、必死で生きているということに着目していたようでした。
今回、改めて観てみると、元々「適合者」で、その中でも優れている超エリートとして生まれ、
水泳選手として金メダルをとることを嘱望され、それが叶わず、
自殺未遂を図ったジェローム…イーサン・ホークが演じていますが、
ジェロームの苦しみもひしひしと伝わってきました。
彼の苦しみから分かるのは、「遺伝子」で人生は決まらない、
むしろ、保証の付いている優良な「遺伝子」に苦しめられた被害者だということです。
自分ではどうしようもない出自や、生まれ持った能力、コンプレックス……。
生きるとき、壁となり得るものを私たちは沢山抱えて生まれてくるんだけれど、
今持っている愛すべきものを見落としてはいけない、
もっといえば、自分の意思で生を受けたわけではない我々だけれど、
生まれた喜びを決して忘れてはいけない、
私たちの命は、どんな苦境にあっても、静かに燃えているんだということを教えてくれます。
辛いときに見たら、少し力になる作品だと思います。
②『LIFE!』(2014年日本公開・米)
こちらは、1947年公開のアメリカ映画『虹を掴む男』のリメイク映画。
2016年の3月にテーマ「旅行」で取り上げています。映画担当スタッフの一押しです。
「旅行」の観点だと、アメリカからグリーンランド、アイスランド、アフガニスタンと、
監督で主演のベン・スティラーが演じているウォルターが「旅」というよりは「大冒険」を繰り広げていきます。
彼は、自分に自信がなくて、結婚相手を紹介してくれるサイトでも、自分の特徴を書き込めないような内気な男性です。
さらに、妄想癖があって、その妄想がCGなどを駆使した大掛かりな描かれ方をしているのが面白いです。
どこまでが現実で、どこがファンタジーかという境目を忘れて、
迫力のある映像と、笑ってしまうような展開を楽しむことが大事です。
そして、ただ面白いだけではなくて、ウォルターの妄想好きが、ラストシーンで効いています。
彼は、実際には1936年から2007年までアメリカで発行されていた「LIFE」誌で、写真のネガの管理係として働いています。
デジタルカメラが当たり前の時代に合って、ネガの管理係、
ウォルターは、ライフ社の事業再編で、真っ先にリストラ候補に挙がります。
いま、私たちも、人口減少やAI技術の発展から、
これまでの常識だった働くスタイルが、未来永劫続くものでは無いという現実にありますが、
この作品を観ていると「人間にとっての仕事ってなんだろう」というシンプルなことを考えることができます。
仕事は、金銭を得るためのものでもあるし、
人生の中で、自分を表す手段のひとつでもある。
ウォルターが短い間で勇気を持って、
世界を渡り歩き、自分を変えて、大冒険を繰り広げながら、
廃刊が決まった「LIFE」誌の最終号で、一切の妥協はできないと奮闘する姿は胸を打つものがあります。
そして、ラストシーン、苦しくても、プライドを持って生きていけば、
誰かが見ていてくれるかもしれないという大きな希望。
現実の世界では、そんな良い話ないよ、と言いたくなる日もあるけれど、
本気でやったなにかは、きっと誰かに届くはず。
「だって、やっぱり仕事は、人間がするものだから」。
生きることと仕事をすることの美しさをポップに描いています。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「中越グループ PAN UP」は、3月29日の放送が233回目でした。
2015年10月にスタートしたので、4年半を持って終了となりました。
スタート時には、10年を目標としていたので、初志貫徹とはならず残念さもありますが、
自分で決めたことなので、前を向かなくてはと思っています。
と言いながら、収録終わりにスタッフの顔を見て、泣いてしまいましたけど。
2016年の3月にテーマ「旅行」で取り上げています。映画担当スタッフの一押しです。
「旅行」の観点だと、アメリカからグリーンランド、アイスランド、アフガニスタンと、
監督で主演のベン・スティラーが演じているウォルターが「旅」というよりは「大冒険」を繰り広げていきます。
彼は、自分に自信がなくて、結婚相手を紹介してくれるサイトでも、自分の特徴を書き込めないような内気な男性です。
さらに、妄想癖があって、その妄想がCGなどを駆使した大掛かりな描かれ方をしているのが面白いです。
どこまでが現実で、どこがファンタジーかという境目を忘れて、
迫力のある映像と、笑ってしまうような展開を楽しむことが大事です。
そして、ただ面白いだけではなくて、ウォルターの妄想好きが、ラストシーンで効いています。
彼は、実際には1936年から2007年までアメリカで発行されていた「LIFE」誌で、写真のネガの管理係として働いています。
デジタルカメラが当たり前の時代に合って、ネガの管理係、
ウォルターは、ライフ社の事業再編で、真っ先にリストラ候補に挙がります。
いま、私たちも、人口減少やAI技術の発展から、
これまでの常識だった働くスタイルが、未来永劫続くものでは無いという現実にありますが、
この作品を観ていると「人間にとっての仕事ってなんだろう」というシンプルなことを考えることができます。
仕事は、金銭を得るためのものでもあるし、
人生の中で、自分を表す手段のひとつでもある。
ウォルターが短い間で勇気を持って、
世界を渡り歩き、自分を変えて、大冒険を繰り広げながら、
廃刊が決まった「LIFE」誌の最終号で、一切の妥協はできないと奮闘する姿は胸を打つものがあります。
そして、ラストシーン、苦しくても、プライドを持って生きていけば、
誰かが見ていてくれるかもしれないという大きな希望。
現実の世界では、そんな良い話ないよ、と言いたくなる日もあるけれど、
本気でやったなにかは、きっと誰かに届くはず。
「だって、やっぱり仕事は、人間がするものだから」。
生きることと仕事をすることの美しさをポップに描いています。
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「中越グループ PAN UP」は、3月29日の放送が233回目でした。
2015年10月にスタートしたので、4年半を持って終了となりました。
スタート時には、10年を目標としていたので、初志貫徹とはならず残念さもありますが、
自分で決めたことなので、前を向かなくてはと思っています。
と言いながら、収録終わりにスタッフの顔を見て、泣いてしまいましたけど。
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by michi1223kuma
| 2020-03-29 20:00
| 映画