2019年 05月 26日
CINEMA UP 190~テーマ:ラッキー『のるかそるか』『あなたに降る夢』 |
FM PORTにて、毎週日曜午後7時~放送中の『中越グループPAN UP』内、
「CINEMA UP」でご紹介した映画のあれこれ。
1947年の5月26日に、阪神甲子園球場にラッキーゾーンが設置されたことから、今日は「ラッキーゾーンの日」。
というところから、テーマは「ラッキー」。
①『のるかそるか』(1999年日本公開・米)
90分のコンパクトな作品なんですが、登場人物のキャラクターがほどよく濃厚で、充実した作品です。
ラッキーと言えば、ギャンブルで起こるラッキーが大きな夢です。主人公のタクシー運転手トロッターの競馬場でのラッキーの始まりは、馬の調教師からもたらされた情報です。この情報の漏えいの仕方がすごく面白いですね。トロッターの同僚のタクシー運転手が、後部座席の客の会話を録音して楽しむという、超・悪趣味なんだけど、この作品には、常に「人と人との会話がある」というベースを感じる設定だったなと思います。
そのタクシーに乗っているお客さんもなかなか濃いキャラクターですが、トロッターの同僚も、競馬場の馬券購入窓口の男も、お金持ちだけが入れる競馬場のサロンの面々も、そして、庶民が集うカフェの面々も、みんな、アニメのように見た目にも分かり易いキャラクター設定、すごく魅力があります。
なかでも、お金持ちが好きだという真っ赤なボディコンドレスのヴィッキーという女性は、はじめ、ちょっと軽い感じなのかなという印象を受けるのですが、トロッターと時間を過ごす中で、キュートな女性なんだなということが分かってくる。
馬券の窓口の男性も、トロッターの勇気のある一点買いに、男気を感じることで、彼自身も人間味をみせてくる。
トロッターの妻・パムも「ギャンブルが嫌い」という堅い女性なのかなと思っていたら、意外と少女っぽいところがあったり。短い作品ですが、短い登場時間で、それぞれのキャラクターを上手く伝えていると思います。
そういう群像劇の中心には、競走馬が走る躍動感とギャンブルのドキドキがあります。最後の方の「今日はいい一日だった」というトロッターの言葉に、あぁ、これって一日のできごとなのか!と。
手元のお金が何十倍にも増えていくスリルとともに、とっても長い一日だったな~と感じるラスト、トロッターの一日に見ている自分が引き込まれていたんだなと思いました。
②『あなたに降る夢』(1994年日本公開・米)
ニコラス・ケイジ主演作品です。実話に基づいているということに驚きます。
90年代のアメリカのラブコメの外さない感じってあると思うんですけれど、この作品もとても見やすく、王道を行っていました。
冒頭が語り部のナレーションで入るところなんかも、平和な感じがしてとてもよかったです。
一方で、「お金」や「道徳」…といった人間の価値観について考える時間にもなりました。
ニコラス・ケイジが演じるチャーリーは正義感が強くて、自分の損を何とも思わない、労を惜しまない、いわゆる「良い人」。
それに対して妻は、すっごく現実的。日常には文句が絶えず、でも、理想は尽きず。
夫は良い人、妻は悪い人と言ってしまえばそうなんですが、常に善意で生きようとする夫にたいしてイライラしてしまう妻の気持ちもわかるな~と思いました
とはいえ、「そんな人のいいことばっかり言ってないで、私のためになることしてよ」と夫をいびる。まぁ悪妻ですよね。
その元の性格を差し引いたとしても、配偶者から、
「宝くじで4憶当たっけど、2憶は他人(しかも異性)にあげる。約束だから」
と言われたら、普通、キレますよね(笑)その点、この妻は、一度は一応受け入れるので、すごいなと思います。
この夫婦はもともとは、とても愛し合って結婚したのに、徐々に価値観のズレが明らかになっていって、
決定打が、「宝くじで急にお金持ちになったこと」なんですね。
莫大なお金の使い道に、人間の「価値観」が丸裸になる。お金の問うものは大きいなと考えさせられる映画でもありました。
ヒロインのイボンヌを演じるブリジット・フォンダがかわいらしくて、警察官とウエイトレスの恋っていう、普通の人のロマンスを、とてもキュートに仕上げています。
「CINEMA UP」でご紹介した映画のあれこれ。
1947年の5月26日に、阪神甲子園球場にラッキーゾーンが設置されたことから、今日は「ラッキーゾーンの日」。
というところから、テーマは「ラッキー」。
①『のるかそるか』(1999年日本公開・米)
90分のコンパクトな作品なんですが、登場人物のキャラクターがほどよく濃厚で、充実した作品です。
ラッキーと言えば、ギャンブルで起こるラッキーが大きな夢です。主人公のタクシー運転手トロッターの競馬場でのラッキーの始まりは、馬の調教師からもたらされた情報です。この情報の漏えいの仕方がすごく面白いですね。トロッターの同僚のタクシー運転手が、後部座席の客の会話を録音して楽しむという、超・悪趣味なんだけど、この作品には、常に「人と人との会話がある」というベースを感じる設定だったなと思います。
そのタクシーに乗っているお客さんもなかなか濃いキャラクターですが、トロッターの同僚も、競馬場の馬券購入窓口の男も、お金持ちだけが入れる競馬場のサロンの面々も、そして、庶民が集うカフェの面々も、みんな、アニメのように見た目にも分かり易いキャラクター設定、すごく魅力があります。
なかでも、お金持ちが好きだという真っ赤なボディコンドレスのヴィッキーという女性は、はじめ、ちょっと軽い感じなのかなという印象を受けるのですが、トロッターと時間を過ごす中で、キュートな女性なんだなということが分かってくる。
馬券の窓口の男性も、トロッターの勇気のある一点買いに、男気を感じることで、彼自身も人間味をみせてくる。
トロッターの妻・パムも「ギャンブルが嫌い」という堅い女性なのかなと思っていたら、意外と少女っぽいところがあったり。短い作品ですが、短い登場時間で、それぞれのキャラクターを上手く伝えていると思います。
そういう群像劇の中心には、競走馬が走る躍動感とギャンブルのドキドキがあります。最後の方の「今日はいい一日だった」というトロッターの言葉に、あぁ、これって一日のできごとなのか!と。
手元のお金が何十倍にも増えていくスリルとともに、とっても長い一日だったな~と感じるラスト、トロッターの一日に見ている自分が引き込まれていたんだなと思いました。
②『あなたに降る夢』(1994年日本公開・米)
ニコラス・ケイジ主演作品です。実話に基づいているということに驚きます。
90年代のアメリカのラブコメの外さない感じってあると思うんですけれど、この作品もとても見やすく、王道を行っていました。
冒頭が語り部のナレーションで入るところなんかも、平和な感じがしてとてもよかったです。
一方で、「お金」や「道徳」…といった人間の価値観について考える時間にもなりました。
ニコラス・ケイジが演じるチャーリーは正義感が強くて、自分の損を何とも思わない、労を惜しまない、いわゆる「良い人」。
それに対して妻は、すっごく現実的。日常には文句が絶えず、でも、理想は尽きず。
夫は良い人、妻は悪い人と言ってしまえばそうなんですが、常に善意で生きようとする夫にたいしてイライラしてしまう妻の気持ちもわかるな~と思いました
とはいえ、「そんな人のいいことばっかり言ってないで、私のためになることしてよ」と夫をいびる。まぁ悪妻ですよね。
その元の性格を差し引いたとしても、配偶者から、
「宝くじで4憶当たっけど、2憶は他人(しかも異性)にあげる。約束だから」
と言われたら、普通、キレますよね(笑)その点、この妻は、一度は一応受け入れるので、すごいなと思います。
この夫婦はもともとは、とても愛し合って結婚したのに、徐々に価値観のズレが明らかになっていって、
決定打が、「宝くじで急にお金持ちになったこと」なんですね。
莫大なお金の使い道に、人間の「価値観」が丸裸になる。お金の問うものは大きいなと考えさせられる映画でもありました。
ヒロインのイボンヌを演じるブリジット・フォンダがかわいらしくて、警察官とウエイトレスの恋っていう、普通の人のロマンスを、とてもキュートに仕上げています。
by michi1223kuma
| 2019-05-26 20:00
| 映画