2019年 03月 31日
CINEMA UP 182~テーマ:ユアン・マクレガー『フィリップ、きみを愛してる!』『ビッグ・フィッシュ』 |
FM PORTにて、毎週日曜午後7時~放送中の『中越グループPAN UP』内、
「CINEMA UP」でご紹介した映画のあれこれ。
放送日の3月31日が、イギリスの俳優、ユアン・マクレガー48歳の誕生日というところから、テーマは「ユアン・マクレガー」。
①『フィリップ、きみを愛してる!』(2007年 仏・米)
こちらは、IQ169の天才詐欺師、スティーブン・ラッセルの実話をもとに作られています。主役のスティーブンを演じているのは、ジム・キャリー。ユアン・マクレガーは、スティーブンに深く愛されるフィリップを演じています。
二人の出会いは刑務所の中ですが、ゲイであるスティーブンはユアン・マクレガー演じるフィリップに一目ぼれをします。フィリップはブロンドの髪に青い瞳のオネエです。この二人の大恋愛を、詐欺という犯罪とともにポップに描いていきます。
ポップという意味では、冒頭で、スティーブンが自身がゲイであることを告白するシーンの演出は笑いました。決してお子さんとは見てはいけませんが、しばらく、あのシーン、そして「アイ・アム・ゲイ」というセリフのリズムが後を引きました。リズミカルです。
本日のテーマ”ユアン・マクレガー”は、この作品では少しふっくらしていて、輪郭が丸みを帯びた外見。真面目で優しいフィリップを全身で演じています。スティーブンが、フィリップのためならば何でもしてしまうのも仕方ないなと、見ている者も思ってしまう、とても可愛らしい人です。フィリップが悲しいことがあったときに、肩を縮めて、両手で顔を覆いすすり泣く姿は、ユアン・マクレガーではなく、フィリップという繊細なオネエでした。
どんなに引き離されても「フィリップ、きみを愛してる!」というタイトル通りの思いで、法律も常識も突破してしまうスティーブン。生き様も個人も本当に濃くて、自分の人生あっさりしてて気が楽だなと思うほどでした。
濃ゆい愛情とジム・キャリー、ユアン・マクレガーもすごい演技力を堪能できる作品です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
②『ビッグ・フィッシュ』(2004年日本公開・米)
『ダンボ』が話題のティム・バートン監督作品です。ティム・バートンらしいキャラクターやファンタジー色と、現実の部分が交錯する不思議な作品です。
少し話がそれますが、ファンタジーという点でこの作品を観ながら思い出したのは、だいぶ前にこの番組の名言のコーナー『WORD UP』で取り上げた『魔女の宅急便』の原作者・角野栄子さんのことです。角野さんは、小さいときにお母さんを亡くして、寂しさもあったけれど、お父さんが絵本を呼んでくれる時間がとても大好きだった。そして、一人の時も、物語を空想するのが好きだったそうなんですね。
私たちは現実を生きているわけだけど、100%現実に生きることが正解ではなくて、辛いとき、疲れたとき、寂しいとき、または、余裕があるとき、例えば布団の中で、何か違う自分を想像してみたり、あり得ないようなことを考えてみたり、そういう時間が、ときに自分を助けてくれるんじゃないか、ファンタジーにはそういう力があるんだなということを、角野さんの話しから感じました。
この『ビッグ・フィッシュ』のお父さん、エドワードも、息子からしたら、夢みたいな作り話ばかりしている、現実とズレている人。父と子は良い関係を保つことができませんでした。でも、息子は、実は父の嘘のような話が、実はただの作り話ではなかったこと。そして、冒険のような人生を生きて来た父、多くの人に愛されてきたことを知ります。
どこまでが本当か、どこまでがファンタジーか、その境目に線を引かないことの奥深さがある作品で、ティム・バートン監督だから、その境界線の曖昧さを描けたんだろうと思いました。その、ファンタジーなのか現実なのかの境目で、父・エドワードの若いころを演じているのが、ユアン・マクレガーです。生き生きと、でも、ふんわりと、捉えどころのない世界観を作っています。夢か現実かの曖昧さを表現する、これもまた、ユアン・マクレガーのすごい演技力だと思いました。
そして、この作品で一番思ったのは、子供が親を完璧に理解するというのは、ほぼ不可能なんじゃないか、ということです。親と子として出会った関係の中で、子供が知っている親の姿というのは、子供にとってはすべてなんだけど、親の人生の中の一部でしかない。親を理解出来るようになるころには、親との別れが近づく頃なんだなという、温かさと寂しさと、でも絶対的な愛情を伝えてくれる作品です。最後は泣きました。
「CINEMA UP」でご紹介した映画のあれこれ。
放送日の3月31日が、イギリスの俳優、ユアン・マクレガー48歳の誕生日というところから、テーマは「ユアン・マクレガー」。
①『フィリップ、きみを愛してる!』(2007年 仏・米)
こちらは、IQ169の天才詐欺師、スティーブン・ラッセルの実話をもとに作られています。主役のスティーブンを演じているのは、ジム・キャリー。ユアン・マクレガーは、スティーブンに深く愛されるフィリップを演じています。
二人の出会いは刑務所の中ですが、ゲイであるスティーブンはユアン・マクレガー演じるフィリップに一目ぼれをします。フィリップはブロンドの髪に青い瞳のオネエです。この二人の大恋愛を、詐欺という犯罪とともにポップに描いていきます。
ポップという意味では、冒頭で、スティーブンが自身がゲイであることを告白するシーンの演出は笑いました。決してお子さんとは見てはいけませんが、しばらく、あのシーン、そして「アイ・アム・ゲイ」というセリフのリズムが後を引きました。リズミカルです。
本日のテーマ”ユアン・マクレガー”は、この作品では少しふっくらしていて、輪郭が丸みを帯びた外見。真面目で優しいフィリップを全身で演じています。スティーブンが、フィリップのためならば何でもしてしまうのも仕方ないなと、見ている者も思ってしまう、とても可愛らしい人です。フィリップが悲しいことがあったときに、肩を縮めて、両手で顔を覆いすすり泣く姿は、ユアン・マクレガーではなく、フィリップという繊細なオネエでした。
どんなに引き離されても「フィリップ、きみを愛してる!」というタイトル通りの思いで、法律も常識も突破してしまうスティーブン。生き様も個人も本当に濃くて、自分の人生あっさりしてて気が楽だなと思うほどでした。
濃ゆい愛情とジム・キャリー、ユアン・マクレガーもすごい演技力を堪能できる作品です。
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②『ビッグ・フィッシュ』(2004年日本公開・米)
『ダンボ』が話題のティム・バートン監督作品です。ティム・バートンらしいキャラクターやファンタジー色と、現実の部分が交錯する不思議な作品です。
少し話がそれますが、ファンタジーという点でこの作品を観ながら思い出したのは、だいぶ前にこの番組の名言のコーナー『WORD UP』で取り上げた『魔女の宅急便』の原作者・角野栄子さんのことです。角野さんは、小さいときにお母さんを亡くして、寂しさもあったけれど、お父さんが絵本を呼んでくれる時間がとても大好きだった。そして、一人の時も、物語を空想するのが好きだったそうなんですね。
私たちは現実を生きているわけだけど、100%現実に生きることが正解ではなくて、辛いとき、疲れたとき、寂しいとき、または、余裕があるとき、例えば布団の中で、何か違う自分を想像してみたり、あり得ないようなことを考えてみたり、そういう時間が、ときに自分を助けてくれるんじゃないか、ファンタジーにはそういう力があるんだなということを、角野さんの話しから感じました。
この『ビッグ・フィッシュ』のお父さん、エドワードも、息子からしたら、夢みたいな作り話ばかりしている、現実とズレている人。父と子は良い関係を保つことができませんでした。でも、息子は、実は父の嘘のような話が、実はただの作り話ではなかったこと。そして、冒険のような人生を生きて来た父、多くの人に愛されてきたことを知ります。
どこまでが本当か、どこまでがファンタジーか、その境目に線を引かないことの奥深さがある作品で、ティム・バートン監督だから、その境界線の曖昧さを描けたんだろうと思いました。その、ファンタジーなのか現実なのかの境目で、父・エドワードの若いころを演じているのが、ユアン・マクレガーです。生き生きと、でも、ふんわりと、捉えどころのない世界観を作っています。夢か現実かの曖昧さを表現する、これもまた、ユアン・マクレガーのすごい演技力だと思いました。
そして、この作品で一番思ったのは、子供が親を完璧に理解するというのは、ほぼ不可能なんじゃないか、ということです。親と子として出会った関係の中で、子供が知っている親の姿というのは、子供にとってはすべてなんだけど、親の人生の中の一部でしかない。親を理解出来るようになるころには、親との別れが近づく頃なんだなという、温かさと寂しさと、でも絶対的な愛情を伝えてくれる作品です。最後は泣きました。
by michi1223kuma
| 2019-03-31 20:00
| 映画